日本郵政は2024年3月期の連結決算において、前期比37.7%減の2686億円の利益を発表しました。この大幅な減益は、郵便・物流事業の赤字転落が大きな要因となっています。
郵便・物流事業の営業損益は686億円の赤字となり、前期の330億円の黒字から一転しました。デジタル化の進展により、年賀状や荷物の取り扱い数量が減少し、新券費の高騰も影響しています。
日本郵便の傘下にある金融子会社2社(かんぽ生命保険と郵貯銀行)は引き続き業績を支えています。かんぽ生命保険の最終利益は10.8%減の870億円、郵貯銀行は国際の利子収入増加により最終利益が9.5%増の3561億円でした。
日本郵政の社長は記者会見で、日本郵便の業績が厳しいことを述べ、効率化を進める考えを示しました。しかし、民営化が失敗であったとの批判もあります。郵便事業は本来、全国一律の低料金でサービスを提供する通信インフラであり、赤字が前提とされています。この赤字を補うためには、かんぽ生命や郵貯銀行の利益が必要です。
郵政民営化は、アメリカの要求に応じて行われたものであり、国民のためではなく、アメリカ企業に日本人の財産を渡すためのものでした。これにより、郵便事業は分割され、効率化の名の下で人員削減やサービス削減が進んでいます。
郵便事業を再構築し、赤字でも国民に必要なサービスを提供するためには、金融部門の利益で補う仕組みに戻すべきです。郵便局は地域のコミュニティとしての機能も持ち、特に高齢者にとっては重要なインフラです。このような視点を持つ政治家や経営者の登場が求められています。
郵便料金の値上げが実行されれば、郵便離れが進み、業績はさらに悪化する可能性があります。ネット時代の到来により郵便の需要が減少しているのは避けられない現実ですが、郵便事業は公的なサービスとして存続させる必要があります。