岸田総理の施政方針演説では、「改革」という言葉は一度も使われず、かわりに「分配」という単語が12回使われたそうです。
これは本当に大きな変化です。この記事でも明らかにされていますが、菅前首相は「改革」という言葉を施政方針演説で16回も使ったそうです。一方で分配という言葉はゼロ。
つまり、菅前内閣は、分配ではなく、自由競争を推進し、強いものが勝つのが当然、という弱肉強食の社会を目指していた、ということです。
一方で、岸田現総理は、この番組でも「『改革』という言葉には市場原理主義、弱肉強食など何か冷たいイメージがついていると感じている。私の所信表明演説には、(「改革」の語はなくても)冷たい改革ではなく、血の通った改革をしっかりやろうということを盛り込んだつもりだ」と発言しておられます。まさに新自由主義からの転換です。
もはや改革という言葉は人間に対して冷たいイメージがあり、この言葉を使うことはメッセージとしても良くない、と判断されている、ということです。
これは、平成の「改革」がいかに空虚なものであったか、それを感じておられるのでしょう。
だから、改革ではなく、新自由主義からの転換ということを大きな旗印に掲げようとしているのです。
この番組では、新自由主義者のコメンテーターが「企業の新陳代謝や人材の流動性などを目指すのか」などと的外れな質問をしていたようですが、岸田総理はきちんと「その前にやるべきことがある。」と冷静に反論しています。
デフレに加えてコロナ禍が発生している中で、企業の新陳代謝を促進するなどあり得ない議論です。それこそ、日本の優良な中小企業を外国資本に売り渡す、売国的政策になります。
いま一番必要なのは、コロナ禍で苦しむ中小企業を徹底的に救済し、手ぐすねひいて待っている外資に買収されることを阻止することです。これが経済安全保障の基本中の基本です。
日本経済を支えているのは地域の中小企業ですから、この地盤を徹底的に守る必要があるのです。
景気がいいときは、自然と企業の新陳代謝は促進されます。必要なところには人が集まり、必要とされない企業には人が集まらず、自然と淘汰されていきます。そのポイントは、人件費、つまり高い賃金が払えるかどうか、ということになります。景気がいいときは人件費を上げてもそれを売価に反映できるので、需要のある企業は売価を上げて人件費を上げて人材を確保して業績を上げていきます。これが好循環を招くのです。
しかし、それは景気がいいときに成り立つ話であって、デフレ不況が継続している日本では、この理屈は成り立ちません。
必要とされる企業も賃上げができず、必要な人員を確保できない。ましてやコロナ禍で売り上げが激減していたら、企業の存続も危ぶまれます。
実際に、このような事態が発生しているのです。
宣言明けたけど…「もう限界」京の食を支える水産仲卸、巨額の借金も
「内部留保を取り崩し、金融機関からコロナ支援のための実質無利子・無担保融資(ゼロゼロ融資)を借りてしのいでいるが、「もう限界。飲食店には休業補償があるが、下支えしている我々にはほとんど支援はない。京の食文化を支えてきたという自負もあり、がんばってきたが、巨額の借金を抱えて子どもに事業は引き継げない」という。」
コロナ禍で激減した売り上げに対して、補償をせずに融資をする、という支援策では、コロナ禍で苦しむ中小企業は救済できないのです。
これを「企業の新陳代謝を促進するために放置するべきだ」というのが、このテレビに出ているコメンテーターの主張です。こういう人がテレビに引っ張りだこで、自分の主張を言いまくり、さらにこれに賛同する人がいるのが私には不思議でなりません。これがいまの日本の世の中がおかしくなっている象徴的な事案だと思っています。
岸田総理には、その言葉のとおり血の通った政治をぜひ実現してもらいたいものです。
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既存のメディアの意図的なミスリードが、日本を滅ぼす!
以下のような記事もしかりです。
金融所得課税、一転先送り 格差是正、早々につまずき(時事通信)
https://news.yahoo.co.jp/articles/7c01b9bbd2176d3e660b106e687623430d5f21ec
格差是正をつまずかせない為に議論をしているのであり、"つまずかせている"のは既存のメディアです。
その通りですね。
岸田総理頑張って下さい🙋
頑張ってもらいたいです!