昨日は岸田新内閣で副大臣・政務官人事が行われました。新たに内閣に入られた皆さんには、ぜひ頑張っていただきたいと思います。
さて、政府が昨日、日本郵政の株式の27%を売却する、と発表しました。9500億円と見込む売却益を東日本大震災の復興財源に充てるそうです。
郵政、描けぬ成長戦略 民営化14年でもなお道半ば~政府、株の最終売却発表~
民営化法は政府に対し郵政株の3分の1の保有を義務づけ、超過分を売却するよう定めているために、今回の売却で政府保有分のうち、義務付けられている株式売却はすべて完了することになります。
記事でも書いてありますが、政府は日本郵政株の売却益を総額で4兆円と見込んでおり、今回の売却で9500億円調達できれば、総額で4兆円確保することができ、当初の目的を達成することができます。
万一、株価が下落するなどして今回の売却で9500億円の売却益が得られなければ、追加で株の放出を行う余地を作るために、日本郵政が1000億円の自社株買いを行うことも同時に発表されています。
このようなテクニックを駆使して復興財源を手当てしようとしていますが、そもそも復興財源は国債発行で賄えばよかったのです。日本郵政の株式売却益を充てる必要は全くなかった。
しかも、日本郵政の株式を民間に売却するということは、株を取得した民間では利益配当や株価の値上がりを期待して取得することになります。
配当や株価上昇をもたらすのは、企業業績の向上です。つまり、企業の利益を上げることが求められます。
しかし、郵便事業は赤字がつきものです。
日本全国に同一料金で郵便が配達される、というのは、すごいサービスです。どんな離島でも山間地でも同じ料金で郵便が配達されるのです。
当然、そのようなところへ配達するのは赤字になります。
そのため、これらのサービスを維持しようとすれば、遠隔地への料金は特別料金として値上げするとか、まとめて配達するなど合理化をはからなくてはなりません。
しかし、郵便は一定期間のうちに配達しなければならない、とされているので、まとめて配達するわけにもいきません。
日本全国同一料金ということも求められています。特別料金を取るわけにいかなければ、他の地域の黒字を拡大して赤字を穴埋めする必要があります。
結果として郵便局の統廃合やサービスの縮小などにより固定費の削減が進められることになります。
実際に、配達日数を一日延ばし、例えばこれまでは翌日に配達されていたものが、この10月から翌々日に配達されることになりました。
郵便は年賀状に象徴されるように電子メールの普及により需要が激減しています。利用促進で利益を拡大することは到底考えられません。
物流に参入するにしても、民間事業を圧迫することとなります。日本郵政も民営化されているとはいえ、政府が1/3の株式を保有しているために純粋な民間企業とも言えません。
しかし、そもそも郵便事業は黒字である必要があるのでしょうか。
郵便が低廉な料金で利用できなければ、国民生活に大きな支障を来すことになります。
国営化しておけば、低廉な料金のまま利用でき、日本全国における郵便サービスは現在のまま維持できます。郵便局の統廃合なども必要ありません。
復興財源のために日本郵政株の売却が必要、という誤った考え方に加え、郵政民営化が日本停滞の要因、などといったこれも誤ったプロパガンダにより進められた郵政民営化。本格的に見直すべきときが来ています。
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小泉内閣の時の国民が馬鹿だった。ヒットラーのような熱狂に唆された。冷静になってみれば、何のための民営化だったのか、何も考えていなかったのではないか。外資の保険会社が参入するためだったのではないか。新自由主義の売国的な行動だった。だが、株式会社なのだから、政府が英断を下せば、今からでも遅くはない、国債を財源として全株式を買い戻し国有化すれば良い。簡単なことだ。英断を!!!
ついでに、JRもいかがですか。北海道、四国、九州などのさらに地方の路線は保線が行き届いていないため、例えば、指宿枕崎線に乗ったときは、揺れが激しく読書すらできない状態だ。北海道根室本線の特急に乗ったときも揺れが激しかったが、外の景色が楽しめないほど窓が汚れたまま放置されている。只見線は洪水で鉄橋が流され長期間改修されなかった。民営化されて、清掃費を削り、脱線転覆寸前まで保線要員を削っており、赤字路線には投資せずに、観光資源の価値を落としている。発展途上国の鉄道に乗っているような気分です。何とかして下さい。
郵便局もJRももう一度国営に戻すべきですね。
JRは廃線だらけで、どんどん昭和から大正、明治へと鉄道のない時代へ時代の針が逆回転しています。
お笑いですね。まあ、いまは車があるから大丈夫、ということなのでしょうが、車の乗れない交通弱者は困りますよね。
知り合いに元郵政省職員だった方がおります。
早い話が、郵政民営化のうねりを受け、省内は混乱。扱う金額も変わり、これでは出世したところで"泥棒の仲間入り"するようなもので、とても部下や国民に顔向けができないとのことで、郵政省を去りました。
その後は、個人事業主として事業を立ち上げられましたが、今はどうされているのかは分かりません。
このように、経世済民の公職を務められていた方が、逆恨み根性を持った「イデオローグ」の"私欲"により民営化させられ、「成果主義」「自由な働き方」と称し、実質的な"左遷"に追いやり、その人の人生をアトム化し消滅させる。
形を変えた「虐殺」に等しいですよ。
大衆と化した国民は、そうした「虐殺」に加勢したわけです。地に足がついていないから。
国民の皆さんに、こうした郵政の問題について、どれだけの見識をお持ちなのか、知りたいですね。
結局これを主導した政治家はなにも責任取りません。
責任を取らされるのは国民なのです。
だけど国民もそれほど重要な問題と思っていませんね。
私も郵政選挙のときは、郵政民営化には反対だったけど民主党に投票するわけにはいかないので自民党に投票していました。
どうしようもなかった・・・。
郵政民営化での株式売却が東日本大震災のために使われる、ということに驚きです
安藤先生の仰る通り、復興には国債で資金調達するべきでした 災害の度に財源ありきのやり方では復興に時間がかかり過ぎて地方は過疎化を促進してしまうでしょう
今回のコロナ禍でのワクチン接種にかかっている5兆円や10万の給付金12兆円 の財源については誰も文句を言わないし、インフレにもならなかったのですから、財源のために国民の財産である社会インフラを売り払うことは止めてほしいです
小泉改革での国鉄の民営化は過激な労組の解体のためだったと思っていますが、赤字であってもやらなければならない事業は株式の買い戻しで再国有化すべきでしょう
日本の将来のためにもなんのための民営化なのか?原点に戻ってほしいものですね
そうですね。
間違ったことは間違ったと認めて、元に戻すとかするべきですが、
間違ったことはしていない、という法則が働くのです。
政治の世界でも先輩がやったことは否定できない、というところがあります。
これが問題ですね。