引き続き日本を停滞させたい経済学者

 以前から財政健全化を訴えてきた経済学者が、相変わらず財政健全化を訴えています。

デフレから脱却できず、長期停滞を招いた理論を引き続き提唱する経済学者

 ブレない、といえばそれまでですが、そろそろ自分たちの理論では経済も成長しないしデフレから脱却できないし、格差は拡大するばかりだし、何かおかしいと気付いてもよさそうなものですが、相変わらず財政健全化の必要性を訴えています。

自民党の次期首相は「年1兆円歳出削減で財政収支黒字化を」

「歳出削減」とは「国民の仕事と所得を減らすこと」である

 単純に考えれば、年1兆円歳出削減する、ということは、国民の所得を1兆円減らす、ということと同じです。「国民の仕事は1兆円分無くします。」ということです。

 好景気が続いていて、仕事が余っているときであれば、歳出削減して仕事を減らしても国民生活にも影響はないでしょう。むしろ経済の過熱を冷ますという意味では有効です。

 しかし、いまの日本経済はコロナ禍で疲弊しきっています。とても好景気とはいいがたい状況です。そのときに政府が「国民の仕事を1兆円分毎年減らします。」という宣言をして、いったい何になるのでしょうか。

 悪影響こそあれ、景気が好転することは絶対にありません。経済学とは、国民を豊かにする学問のはずです。その目的に全く逆行しています。

「財政破綻論」は財務省も否定している

 この学者は、「日本国債のデフォルト」を心配しているようですが、財務省がホームページで、「日本国債のデフォルト(債務不履行)は考えられない」と明確に否定しています。さらに「ハイパーインフレの懸念はゼロに等しい」と異常なインフレが起きる可能性も否定しています。日本の財政破綻はあり得ないのです。

 つまり、この学者は根本的な前提が完全に誤っているのです。前提が誤っていれば、結論が間違っているのは、いわば当然です。

 これからの政府の経済政策を検討する会議には、このような「子供でも分かる理屈」がわからない学者は入れてはなりません。

財政政策の役割とは、景気を調整して国民を豊かにすること

 財政破綻の発生し得ない国家の財政政策の役割は、国の経済の順調な成長のために調整弁の役割を果たすことです。経済を順調に成長させ、国民一人一人を豊かにすることです。

 景気が悪いときには財政支出を拡大して(財政赤字を拡大して)国民に仕事と貨幣を渡し、景気を回復させる。

 景気が過熱しているときには、財政支出を削減したり減税したりして財政黒字を実現し、行き過ぎた貨幣を国民から回収して景気の過熱を冷ます。そういうことを通じてバブルのような事態が発生するのを未然に防止する。

 そういう調整弁を果たすのが財政当局の仕事なのです。

「常に財政黒字を目指す」財政政策は誤り

 「常に財政黒字を目指すこと」が仕事なのではありません。政府の財政黒字とは国民の赤字。政府の財政黒字は、経済が悪化しているときに目指してはならないのです。国民を赤字にしては、経済は絶対に回復しません。

 日本が長期間デフレから脱却できなかったのは、「規制緩和や自由化が足りなったから」ではなく、「政府の財政赤字(言い換えれば国民の黒字)が足りなかったから」なのです。

 新しい日本の首相には、経済のアドバイザーには、きちんとしたアドバイスのできる学者を選任するべきです。

 日本の長期停滞を招いた一つの原因は、日本の経済学が適切な処方箋を示すことができなかったことです。令和の時代に平成の停滞を持ち越さないためにも、平成の時代に流行していたしていた日本の財政破綻を前提とする経済学も転換させなくてはなりません。

8件のコメント

日本の総理が誰になるにせよ、内閣参謀として経済を指南して欲しいと思います。

安藤先生は日本の未来を考える勉強会会長として、いち早く超積極財政が必要と訴え続けて来られました。総理候補の中では、高市早苗さんが唯一プライマリーバランスの黒字化を棚上げしてでも、積極投資を訴えておられます。安藤先生もこれからという時に、一体何を考え、どうしょうとされているのでしょうか?

ありがとうございます。私はこれから私のできることを精いっぱいやりたいと思います。

“イデオロギー”に陥るのは”虚無主義”に陥るに等しいです。

イデオロギーを押し付ける裏返しは、自分または自分達だけの「私益」を守るため。国民を適当にあしらい、有り難がらせて思考停止させる。

インテリという連中の動揺は、近代と対峙することができない「現実逃避」と「自己喪失」から来るものです。

そんな連中に国民は構っている暇はありません。

学者とは真実を追求して人類の発展に貢献するもの、と思っていましたが、日本の主流派経済学者はそうではないようです。
長期のデフレ脱却が果たせない理由を真摯に研究してくれればいいのに、と思います。

日本の一人当たりGDPは1995年ごろはルクセンブルグに次いで世界第2位でしたが、2020年には26位にまで落ちました。金額的には400万円ぐらいで横ばいで、アメリカの60%ぐらいですね。多分、日本にいる限り感じないかもしれませんが、海外に行けば物価の高さに驚くのではないでしょうか。
政府には、ぜひ国民を豊かにする経済政策をとってほしいです。

海外に行けば、物価の高さに驚きます。
インバウンドで中国人が大勢くるのも、物価が安くてサービスが良くて治安もいいからです。
かつては中国人からみたら、日本は物価が高くてとても行けない国でした。
いつの間にか、経済的地位が逆転してしまったのです。しかし、このことに気づいていない人が多いのが残念です。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

Sorry!日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)

ABOUT US
アバター
あんどう 裕(ひろし)前・衆議院議員
慶應義塾大学経済学部卒、大手鉄道会社入社。平成9年税理士試験合格。平成10年独立し安藤裕税理士事務所を開設。平成24年12月衆議院議員総選挙により初当選。以後3期連続当選。議員連盟「 #日本の未来を考える勉強会 」前会長。税理士。