日本人の命に係わる農業政策

 自民党総裁選挙で農業に対する議論が少なすぎる、という意見があります。確かに、農業政策はそれほど多く語られていないように感じます。

 しかし、農業は国民の生命を維持するために非常に大事な産業です。決してなくしてはならない産業で、保護し、守らなくてはなりません。

総裁候補の農業に対する認識

 その農業について総裁選挙で議論されました。その記事を二つ紹介します。

自民党総裁選 4氏が農業振興策(日本経済新聞)

自民党総裁選 4氏が「もうかる農業」などを主張 防災や農林水産をテーマにオンライン議論(産経新聞)

 私は直接この議論を聞いていないので、この紙面から推察するしかないのですが、4氏ともに農業に対して、高付加価値、儲かる農業という発言をしておられます。

 確かに農業は儲からないから後継者不足になっていることは否定できません。

コメどころの地方の危機感

 地方にはもっと危機感があり、地方紙の見出しにもそれがよく表れています。

米価低迷に農家悲鳴も論戦低調 自民党総裁選(河北新報)

 かつては生産者米価や消費者米価が国によって決められ、生産量を確保しつつ国民には安価でコメの供給をしていました。一種の社会主義的な政策が取り入れられていたのです。

 これは、戦後の食糧不足を解決する必要性に加えて、農地改革が行われ、大農家がなくなって小作人が一戸の農家として独立採算を取らなくてはならなくなり、その経営支援という意味合いもあって導入されていた制度です。

 しかし、この制度も廃止され、コメの生産も販売も自由化されていきます。コメ以外の農産物の輸入も自由化されていきます。海外から安い農産物がどんどん入ってくるようになりました。

 それによって、家庭の食卓に上る日常的な農産物は海外からの競争にもさらされるために、価格を上げることが困難になります。儲からない農業になるのは当然なのです。

食糧自給率100%以上を目指す農業政策が必要

 これらの政策を取り続けた結果、日本の食糧自給率は40%を切ることになりました。これは極めて危機的な状況です。

 本来は食糧自給率100%以上を目指す政策を基本に置かなくてはなりません。

 先の新聞記事でも、各候補は食糧自給率の低下には危機感を共有しています。

 解決策としては、農家に対する補助金などの政府支出を拡大して農家の所得を安定化させることがまず必要です。そういうことをきちんと主張していたのか。ここでも財政支出拡大、プライマリーバランス黒字化目標の凍結が求められます。

食糧危機時には海外から食糧購入はできないと考えるべき

 また、食糧危機のときに海外から買ってくればいい、という人もいますが、自国民が飢えているときに食糧を海外に輸出する政府はありません。世界的な食糧危機のときに、買ってくればいいという解決策はあり得ません。基本的に食糧自給率は100%超を目指し、食糧輸出国になるくらいの農政に対する大転換が必要です。

 農業政策をこれからの国家の一大プロジェクトとして確立することが必要です。

 以前も書きましたが、農業を守ることは農家の既得権益を守ることではありません。日本国民の生命を守ることなのです。そこをはき違えないでもらいたいとつくづく思います。

10件のコメント

私の住む地域は食料自給率が260%です。しかしながら、耕作放棄地が増えております。
昨年、安藤先生にご講演に来て頂いた際に参加した方の中に、農業者の方がおりましたが、その方は近隣の市町村も含めて耕作放棄地を見つけては登記を調査して、土地の借り入れの交渉をして、農地として甦させています。
現役の農業者は高齢の方も多く、今後も耕作放棄地は増えることは間違えありません。

安藤先生のお話にもあるように、日本は食料自給率00%以上を目指すべきです。
私は身近な農業者の方々を見て感じるのですが、機械化やIT化などを促進するような政策を取ってもらいたいです。

漁業に関しては、特に日本海側は中国や韓国船が漁場を荒らしています。これは外交問題でもあります。交渉だけで無く、防衛力を上げて、安全保障をカバーして欲しいです。

食糧危機に対する日本人の危機感が全くないです。政治家もそうです。
世界の人口が増え続け、日本の経済力が凋落していけば間違いなく食糧危機はやってきます。
じわりじわりと効いてくるでしょう。
食糧安全保障はいまから手を付けなくてはなりません。

食糧自給率を100%にしておいて、その上で小麦1トン輸入に対して米1トン輸出する、バナナ1トン輸入に対してリンゴ1トン輸出する、という具合に、農産物内でバランスを取れるようにすべきだと思います。平地の少ない日本ではどうしてもコストが高くなるから、そのハンデの分は政府が持たねばならない。水と食糧は人間にとって必須のものだから、この点においては社会主義的にやるしかないと思う。
全産業で比較優位を議論すると、工業製品を輸出して食糧は輸入するという答えになるが、食糧という事業範囲を限定して、比較優位を議論すれば、つまり、小麦やバナナは苦手だから輸入するが、米やリンゴは得意だから大いに作って輸出もする、というようにやれれば、有事になっても生きられる。
作りすぎても、世界的に見れば食糧が不足している国も多い。国が赤字覚悟なら処置に困ることはないのではないか。

農業を普通の産業のように自由競争で勝ち抜くなどと考えたらダメですね。
米国はじめ主要国は食糧を戦略物資としてみています。
食糧自給率は100%超を目指し、超過分は輸出しておけば、食糧輸入国は外交的にコントロールできるようになります。
日本もその視点から農業を考えるべきです。

イデオロギーや”最新鋭”と称するものにしがみつく「左翼的な人達」の一番の目的は、私益のために農業のような実業種を支配・弱体化させ、「君たちは俺たちの支配下なのだ。ひたすら言うことを聞け!」・・・と言いたいのでしょうね。我を忘れて。我が国の国体を忘れて。

農業は単に人々の腹を満たすだけにあらず。
そこには、逃れることのできない蓄積された文化と安全保障があることを国民は忘れてはいけません。

農林業の担い手不足のように受給バランスが完全に崩れてしまっている分野は、社会主義的な支援のあり方を検討して欲しいと願っています。
要領の良い一部の者が儲かっても、国土全体を守ることはできませんし、国民の胃袋を守ることもできません。
先日、自民党内で農産物輸出の纏め役をされている若手の代議士が、今の日本の農産物は安いので、国際競争力があると言われており、ショックを受けました。
日本のモノが安いのはデフレを放置し続けたからであり、それを改善しようとせず、輸出を推進するなど本末転倒です。
党内で、安藤先生のような視点で考えてくださる議員が増えてくれることを願っております。

ありがとうございます。安くて価格競争力がある、というのはどうかと思いますね。
輸出よりも国内への供給量の確保のほうが大事なのですが、なぜか輸出輸出と外に売ることが奨励されています。
本末転倒です。

農業経営者です。日頃から安藤さんには、様々な情報発信、ご活躍感謝しています。農業についての投稿だったので、現場からコメントを残させていただきます。現在、コロナ化の中で農業に関しても消費者との繋がり方によって経営の状況も、まだまだ不安定な状態が続いておりますが、高収益次期作助成金や経営継続助成金など、様々な支援をしていただきました。しかしながら、小規模事業者等では受給対象であっても手続きをしない方や後から回収されるとか、窓口が込み合っていたり、申請に対してあまり良い印象が無いようでした。その他にも農業意外の企業が新事業の事業再構築補助金の影響か不動産会社や全くノウハウの無いようなところが農業事業に参入する案件が見られるようになっています。勿論賛否はあるかと思いますが、昨今の農業の法人化推進や儲かる農業の転換など、利益中心になってしまい、目的と手段がずれてしまっているように感じます。昔から続いている農家は本業意外にも地域活動(消防団や自治会)なども農家だからと、自主的に活動されている方が多いです。そういった無形の価値の維持もきちんと考えていただきたいと思います。
長くなってしまいますが、雇用に関しても、非常に重要な立ち位置にあると思っています。現在5名の従業員(全員日本人の正社員です)を採用しておりますが、全員何らかの発達障害やひきこもりなどの過去を持っています。ASDやADHD、得に双極性障害の方は、成長までしっかりと時間をかけていかなくてはいけません。私のところは個人事業で、小さいので求人を募集してもなかなか応募が来ませんが、そういった社会交流に苦手意識を持った方が、ここならとやって来るのかもしれません。当然入ったばかりは、コミュニケーションがとりにくいので、生産性はなかなか上がりませんので、何年もかけて、ストレスを掛けずに育てていくほかにありません。しかしながら競争の相手は大規模の農業法人や低賃金の労働者や技能実習生わ何人も抱える事業体との競争です。やはり楽には行きません、今まで採用を一度も断った事はありません、そのせいか10年で9名採用、現在5名が継続していてくれていますが、半数を下回ってしまうと、非常にありがたかった、農の雇用事業助成金も利用出来なくなってしまいます。危機意識の中でなんとか日本の農業を継承と発展、社会支援をしていきたいと思ってはいるのですが、こういった思いに対する評価や価値をなんとか政治の場へ届けたいと思っています。
長々と申し訳ありません、引き続き安藤さんのご活躍に期待しております。

大変な努力に頭が下がります。
このように真剣に農業に取り組んでいる方が報われる農業政策にならなくてはなりません。
利益追求の株式会社の参入を促進すると、地域の文化も損なわれていくでしょう。
農業は人間社会の根幹です。現代の資本主義を徹底的に入れるのは、そぐわないと思います。

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あんどう 裕(ひろし)前・衆議院議員
慶應義塾大学経済学部卒、大手鉄道会社入社。平成9年税理士試験合格。平成10年独立し安藤裕税理士事務所を開設。平成24年12月衆議院議員総選挙により初当選。以後3期連続当選。議員連盟「 #日本の未来を考える勉強会 」前会長。税理士。