看護師・介護士の年収アップは効果的

 岸田総理が、看護師や介護士の報酬アップについて、施政方針演説でも触れていました。公的価格評価検討委員会を設置し、公的価格の在り方について抜本的に見直す、と表明しています。

 これは非常にいい取り組みだし、民間企業に頼ることなく、政府が率先して行うことができる賃金アップです。これは早急に実現してもらいたい。それも、一気に倍になるくらい思い切って上げるべきです。そうすれば令和の所得倍増は実現することが証明できます。

看護師等の年収アップの財源

 これについて、ある論文がネットに発表されています。これは「看護師や介護士の年収をアップするには恒久財源が必要だ」という財源論なので、基本的には間違っているのですが、それ以外は当たっている部分もあるので載せておきます。

岸田政権の「看護師・介護士の年収アップ」政策、その「驚きの効果」と「実行可能性」

 わずか1割アップするだけで2兆円程度の所得増が見込める、ということなのです。2兆円の経済効果が毎年続くことになるので、経済に対しては間違いなく底上げ効果が見込めます。

法人税減税が巨額の内部留保をもたらした

 また、これまで行われてきた法人税減税についても触れています。これは適切な分析です。

「企業が内部留保を増やしているのは、日本経済の先行きに悲観的で投資を控えていることに加え、度重なる減税によって最終的に獲得できる現金が増えたからである。」「業績が順調に拡大し、付加価値が高まった結果として最終利益が増えた場合、企業はそのキャッシュを惜しみなく次の設備投資に充当する。だが業績が低迷する中、減税によって手元の現金が増えた状況では、先行投資は行わない。今の日本企業は減税によってゲタを履かせた好業績であり、本来の意味での業績拡大とは言い難いのだ。」

 これは正しい分析です。私はこれまでも法人税減税には反対してきました。

 これはなぜなのか、説明しましょう。

 法人税減税すると経営者は何の節税努力をしなくても手元に現金が残るので、努力なしに利益を上げることができます。

 法人税が高いと、節税行動をとります。節税行動とは、基本的にはお金を使って経費を使うことで実現されます。つまり、企業が節税行動を取ることは経済活動の活性化につながるのです。

 ところが、法人税が低いと節税行動をする必要がなくなるので、そのための経済活動は行われなくなるのです。その分が企業の内部留保として増えていくことになります。

 つまり、法人税減税は企業の内部留保を増やすだけで経済効果はありません。

 法人税減税が議論されていた当時、減税を推進する人たちは「法人税減税すれば、その分だけ企業に現金が残るので、それが設備投資に回り、賃金アップに回る」と主張していましたが、逆です。

 法人税が高いと、企業は節税行動を取るので、利益が出たら来年計画していた設備投資を前倒ししたり、必要な備品を前倒しで購入したり、決算賞与で従業員に還元したりするのです。

 法人税を下げれば、節税行動をとらなくても手元に現金が残るので、なにもしなくなります。それが内部留保のかたちで現れます。

 法人税減税は景気対策としては効果が限定的であるということが証明されたのです。

「年収アップの財源は国債だ」と言い切ることが必要

 さて、この論文では、看護師等の賃金アップの財源について考察し、国債は排除していますが、いま最も適切な財源は国債です。ここが根本的にこの論文の間違っている部分です。賃金アップの財源をどうするのか、という議論には、「いま最も適切な財源は国債です」と言い切ることです。

 岸田総理が「財源は国債です」と言いきれるかどうか。それがこの政策を実現できるかどうかのカギになるでしょう。

8件のコメント

ご存知ない方は、こちらの本をお読み頂きたい。

ナオミ・クライン
「ショック ドクトリン」(岩波書店)
https://www.amazon.co.jp/dp/4000234935/ref=cm_sw_r_cp_awdb_imm_NQ0VPS9XRWSJFBQSB2B2

読むのが面倒な方は、ご本人のインタビューをご覧ください。

ナオミ・クライン 火事場泥棒の資本主義を検証 “ショックドクトリン”応用編(Democracy Now)
http://democracynow.jp/video/20080715-1

知らない方にも共有して頂きたいので、掲げてさせて頂きました。

医療従事者の皆様にも「安全保障」という視点をもって頂きたいです。なぜ、不当に診療報酬が上がらないのかが見えてくると思います。

ショックドクトリン、恐ろしいですね。

看護師、介護士は人の命を預かる聖職だと自認して安い賃金にもめげず頑張っている。移民などを受け入れるので、給与が上がりにくい。しかし、外国人では身体の細かな表現など痒いところに手は届かない。日本人で是非この世界に就職したいと思えるような環境を整えてもらうのが政治の仕事だろうと思います。それが経済拡大にも寄与するのだから、なおさらです。

看護師や介護士は、本当にいい人が多く、政府がその善意に頼っているところがあります。
大事な仕事だし、適性の非常に重要な仕事です。十分な処遇をして、その仕事に適性を持つ人が安心して誇りをもって働ける環境整備が必要です。

医療従事者の皆様の給料を上げて頂きたい。
それは医療従事者の人生、暮らしのみならず、我が国民の安全な医療環境と医療技術の提供に資します。

岸田総理が言い切れるようにサポートお願いします

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あんどう 裕(ひろし)前・衆議院議員
慶應義塾大学経済学部卒、大手鉄道会社入社。平成9年税理士試験合格。平成10年独立し安藤裕税理士事務所を開設。平成24年12月衆議院議員総選挙により初当選。以後3期連続当選。議員連盟「 #日本の未来を考える勉強会 」前会長。税理士。