岸田新総裁の背負う「新自由主義からの転換、分厚い中間層の再生」という難題

 10月4日月曜日に、岸田文雄自民党新総裁が第100代総理大臣に就任し、新しい内閣が発足することになります。

 この総裁選挙で、岸田さんは新自由主義からの転換、分厚い中間層の再生を訴えてきました。

 実際、これは大きな課題ですが、それほど注目されていません。しかし、これを実現するのは相当大変です。

緊縮財政と新自由主義はセット

 高市早苗候補の「プライマリーバランス黒字化目標凍結(PB黒字化目標凍結)」はネットでもかなり注目され、高市さんの注目度は飛躍的に上がりました。

 しかし、本来は緊縮財政と新自由主義はセットものです。

 国がお金を出さない「緊縮財政」をやるので、民間は自由に経済活動を行い(新自由主義)経済を成長させるべきだ、ということです。

新自由主義の最大の被害者は就職氷河期世代

 新自由主義が拡大していった最大の犠牲者は、就職氷河期世代といってもいいでしょう。

国が見捨てた就職氷河期世代の絶望…バブル崩壊後の30年間で何が起きたか

 この記事は非常によく取材されています。

経営理論的に正しい社員の非正規化

 経営理論的には、人件費を変動費化することは正しい。(売り上げの上下に連動して変わる経費を変動費といいます。)受注が増えたときには人を増やし、受注が減ったときには人を減らす。そのように調整できたほうがいい。だから、できるだけ固定費となる正社員は雇わず、派遣やアルバイトを増やして、正社員はできるだけ少なくするほうがいい。しかも、非正規雇用は人件費が安い。

 こういうわけです。

 しかし、この記事にも出てくるとおり、以前の経営者は社員の幸福も第一に考えていました。株主第一や利益第一ではなかったのです。

 そして、会社も社員を育てることに投資をしてきました。

 その結果、会社に対する忠誠心も高まり、企業業績も向上し、社員の生活=日本人の生活も安定し、家庭や子供を安心して持つことができたのです。

株主第一主義が招く非正規化、そして少子化

 いまは、企業業績、株主第一主義になってしまい、人件費の変動費化は進みました。会社だけではなく、公務員までそのようになりました。

 結果として、若者の将来不安は増幅し、賃金上昇の見込みもなく、結婚もできず子供も持てない、ということになります。

 新自由主義からの転換は、少子化対策でもあるのです。

 岸田新内閣には、この視点が持てるかどうか。平成の間に蔓延してしまった「人件費の変動費化」という経営理論的には正しい企業行動を転換させることができるか。これは本当に難題なのです。

経営理論的に「社員の処遇改善が正しい」という社会環境をつくること

 しかし、これは人手不足の状態をできるだけ作り出すことによって解消に向かいます。外国人労働者受け入れの停止、非正規公務員の正規化、介護職や保育職、医師看護師などの処遇改善、公共事業の労務単価の引き上げによって人手不足の状態が継続するようになりますから、おのずと社員を大切にする雇用をしないと人が採用できなくなります。そうなってきて初めて、可能になってくるでしょう。つまり、経営理論的に人手不足を解消するためには、安定的に働いてくれる社員を確保することが重要である、という理屈のほうが「人件費を変動費化するべきだ」という理屈に勝るようになるからです。

 これらを実現するには、財政支出拡大、すなわちPB黒字化ではなく、PB赤字の拡大が求められます。ぜひ財政赤字の拡大を通じた新自由主義からの転換という、大きな政策転換をやってもらいたいと思っています。

これがなくては、少子化も止まらず、日本の未来は絶望的なものになるでしょう。

10件のコメント

いつもお世話になっております。正にその通りですね。小林 美希さんは私も取材を受けました。経世済民こそ政治が司る最大の一つ。
信じて行動をするだけしかないと思っております。

そうです。経世済民。これが経済ですね。

野党もPB黒字化目標凍結を主張していますから、敵は内部にいるのではないか。岸田さんは、与党内の抵抗勢力を説得し、自信を持って実行して欲しい。『国民に分かりやすい』政策を打てば世論は味方をするはず。中間層だけでなく、それ以上に最下層が期待しています。

そうですね。期待しましょう。頑張ってもらいたいです。

少し長くなりますこと、お許しください。

新自由主義や共産主義といった「イデオロギー」を垂れ流し、是が非でも自分達の家族(というより一族)や特権を守りたがる”エリート”達と、それを無駄に有り難がる従属的な精神とニヒリズムに陥っている国民。

こうした精神構造が今の日本の現状と心得ます。

「近代」と呼ばれる状況に向き合えないエリートと呼ばれる”外国勢力追従者”の軟弱ぶりは、国民・国家を亡国に追いやります。

実は私、就職氷河期世代の者です。
就職氷河期世代を徹底的に叩いた、あの異常な世論環境は正気かと疑念を持ち続けていました。
しかし、その当時は今のように言論空間に幅がなく、既存のメディアが垂れ流す情報に屈するしかありませんでした。

今思うと、逆に就職氷河期世代の人達が日本のリーダーとして日本を支える時期になった時、我々世代が台頭してくるのが気に入らない勢力がいるのではなかろうかと勘繰ります。
外国勢力はもちろん、国内にも敵はいるでしょう。
そうした事も計算して、相手勢力は日本の弱体化を目論んでいるのではないかと。

私はそのような見方をしております。
そう考えると、逆の事をしてやろうと思うんですね(笑)負けず嫌いなんで(^^)

いずれにせよ、1日も早く従属精神の呪縛を解き放つ必要があります。

「諦める」という言葉がありますが、諦めれば、明らかになり、本来の自分、本来の日本の国家の姿を直視できるようになります。私はそう思ってます。

精神的な自由というか、独立が必要だと思います。

朝のニュース番組で橋下徹氏が甘利新官房長官に対し令和の所得倍増計画は高度成長期ではないし難しい、と言ってました。本当に許しがたく罪深いミスリードです。
マスコミも政治家も評論家も私企業、私法人ではなく、公器です。民主主義だから緊縮、反日の政治家を選んだ国民のせいという意見がありますが、私は反対です。
正しいことと反対の情報を主要メディアで報道されたらどんなに国民が勤勉で正義感があってもほぼ間違います。
マスコミや発言力のある人のミスリード是正というと財政出動が喫緊の中で今後の課題のように取られがちですが、私はこちらも同じく喫緊と思います。積極的な財政出動は多くの政治家が間違い、少数の政治家の意見が通りにくい中、正しい情報を配信しそれに基づく民意の喚起は非常に大事かと。

橋下徹氏は完全に間違っていますが、世の中の多くの人は、橋下氏のいう通り「高度経済成長期ではないので、所得倍増なんかできない」と思っています。
テレビのタレントは、正しいことを言うよりも、世の中の人が言ってもらいたいと思っていることを言うのが仕事なので(そうでないと視聴率が取れない)そういうことを言ってくれる人がテレビタレントとして重用されることになります。
それでますます間違ったことが流布するという悪循環です。

人件費の流動費化、これは本当に嫌な言葉です。個性や微妙な機知の必要な能力等も全く不必要であるかの如く、命令の範囲の釦を押す様な対応の人材を揃えた企業ばかりになって来ているように見えます。いつでも交換可能なBiSのように。あらゆる職業の先にはエンドユーザーがいるものですよね、その方達の豊かさを奪っていることになるこの概念は、本当に取り消していって欲しいです。日本の日本的な豊かさを皆が味わえるのを望みます。。。。

本当に、人間が人間扱いされていない気がします。
生産性を上げ続けなくてはならない。これでは気が狂います。
もう少しゆったりした社会にならないと、人間が壊れます。

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あんどう 裕(ひろし)前・衆議院議員
慶應義塾大学経済学部卒、大手鉄道会社入社。平成9年税理士試験合格。平成10年独立し安藤裕税理士事務所を開設。平成24年12月衆議院議員総選挙により初当選。以後3期連続当選。議員連盟「 #日本の未来を考える勉強会 」前会長。税理士。