小選挙区制の弊害

 小選挙区制の弊害については、ほとんど語られません。

 しかし、小選挙制が導入され、日本の政治が劣化した、という人もかなりいます。

 小選挙区制

石原慎太郎氏の指摘

この記事の中で、石原慎太郎氏の発言が紹介されています。

 『元東京都知事の石原慎太郎は定例会見の場で「小選挙区を採用したことが絶対に間違いですよ。健全な民主主義や健全な政治家は生まれてこない。どんどん政治家が小­さくなっちゃった。今はみんなロボットみたいでどれもこれも顔は違うけど言っていることは同じだわ。寂しい国になっちゃったね」と小選挙区制度を批判し制度自体を否定した。』

 候補者は、自分の信念よりも自分の所属する政党の方針を言わざるを得ず、どこに行ってもどの候補者に聞いても同じようなことを発言することとなり、意見の多様性が損なわれているのです。

所属政党と異なる意見が言える例外

 自分の所属する政党と異なる意見を言える候補者は、基本的には二世三世の世襲議員で地盤が極めて安定している場合に限られます。選挙基盤の弱い若手議員は、とてもそんなことはできません。

 そんなことをして党から公認もらえなければ当選もできないからです。

 得票率と獲得議席数に大きな乖離があり、とても民意が反映されている選挙結果とは言えません。

 単純小選挙区制では、1票でも少なければ落選ということになるので、その候補者に投票した民意はすべて無視されることになります。

比例復活の有用性

 したがって、比例復活のある現行の「比例代表並立制」は死票を減らすという意味では有効な制度なのです。

 しかし、いまの世論では「比例復活制度は無くすべきだ」「小選挙区では落選しているのだから、ゾンビのように復活するのはわかりにくい」と比例代表との重複立候補を批判する向きが多い。

 でも、単純小選挙区制にしたら、死票が圧倒的に増えてしまい、ますます民意を反映した国会から遠ざかることになります。

 少数意見は排除され、多様性は損なわれるのです。

中選挙区制の復活

 私は、小選挙区制を廃止して中選挙区制に戻し、一つの選挙区から複数当選するようにするべきだと考えています。

 なぜなら、1位にならなくても当選するのであれば、大政党に所属しなくても当選する可能性が出てきます。(1位でなければ当選できない小選挙区制の下では、新人候補者は、よほど著名人である場合を除き、大政党に所属しなくては当選することはほぼ不可能です。)

 多くの人が立候補して、自分の信念を堂々と主張し、当選を目指すようになるでしょう。

 いまの小選挙区制では、自分の信念を主張するよりも、敵を作らないことを優先するので、どうしても主張は当たり障りのないことを言わざるを得ません。

中選挙区制なら「世代交代」も可能に

 さらに、自民党など大政党の公認の原則は「現職優先」なので、その選挙区に現職がすでにいる場合には、その政党から出馬することはできません。

 だから、世代交代も起きません。

 中選挙区制であれば、現職がいる場合でも公認される可能性もあり、仮に公認されなくても無所属で立候補して当選することができます。つまり、現職がその地位に安穏としておられず、また、世代交代や能力で劣る議員を民意で交代させることができ、よほど合理的です。

 しかも、小選挙区制では公認権が党にあるために、党の方針に逆らう意見を言うことができません。

 これを自分の政権基盤強化に存分に使ったのが小泉純一郎政権でした。

 郵政選挙では、郵政民営化に反対した自民党議員を除名し、そこに刺客と呼ばれた新人候補者を擁立して当選させました。いわゆる小泉チルドレンです。

 衆議院選挙は、小選挙区制であれば、そのときの風で、なにもしなくても当選できます。逆に、どんなに優秀な人がどんなに努力していても、そのときの風で落選してしまうのです。

 無責任な民意が最優先になってしまい、責任ある政治家を育てることが非常に困難になります。

 先に紹介した石原慎太郎氏の発言は、非常に的を得ていると言えます。

 世代交代や政策議論の充実を求め、幅広く民意を国会に送るためには、選挙制度を改革してもう一度中選挙区制に戻すべきです。

 中選挙区制の下でこそ、自分の所属政党の執行部に反抗することも可能になり、政策議論も活性化し、民主主義が正当に機能することを取り戻せるでしょう。

10件のコメント

Amebaブログで安藤先生の更新がないので大変心配しておりました。
こちらで情報を発信しているのですね。
しっかり学び、今後に活かしていきます。
いつも応援しております。

ありがとうございます。心配おかけして申し訳ありません。こちらでしっかりやっていきます。どうぞよろしくお願いいたします。

小選挙区制で、党の承認がないと、よっぽど有名でないと当選が難しいことが理解できました。

選挙制度にはそれぞれ長所と短所があります。日本以外で小選挙区制が広く採用され、単記非移譲式投票の中選挙区制がほとんど見られない理由を考える必要があるでしょう。小選挙区制の欠点に対しては、まずは比例代表制を検討するのが選挙制度論として一般的であると思われます。

そうですね。ただ、私は中選挙区時代のほうが政治のダイナミズムがあったように思います。
ネットも普及してきてこれからは動画なくして政治活動は考えられないようになってきましたから、
中選挙区の弊害と言われた政治資金が高額になる、という欠点はかなり是正されるのではないでしょうか。

安藤先生が必ずもう一度国会議員として立候補される日を待っています。

正直なところ、安藤先生のような自民党議員が出馬する選挙区なら良いのですが、私の選挙区は票を入れたい政治家が誰もいません。これこそが、小選挙区制のデメリットだと思います。
世襲制も辞めてもらいたいです。いつまで経っても票を入れたい政治家が現れない選挙区があることは、民主主義とは言えません。

Youtubeのライブで「日本の未来を考える勉強会の支部を作って全国行脚をしたい」という話がありましたが、是非やっていただきたいと思います。私も協力いたします。

安藤先生、ぜひ政治家を続けて下さい。

ありがとうございます。
支部つくりたいですね。その際はご協力をよろしくお願いいたします。

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あんどう 裕(ひろし)前・衆議院議員
慶應義塾大学経済学部卒、大手鉄道会社入社。平成9年税理士試験合格。平成10年独立し安藤裕税理士事務所を開設。平成24年12月衆議院議員総選挙により初当選。以後3期連続当選。議員連盟「 #日本の未来を考える勉強会 」前会長。税理士。