介護職の人手不足と低賃金

 今日のNHKの報道で介護職の低賃金と人手不足のことが報道されています。

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210905/k10013244521000.html

 訪問介護職の4人に一人が65歳以上である、という報告です。これは介護職は低賃金で人が集まらず、特に若い世代は賃金アップも見通せないために敬遠する傾向にあるからです。

 記事にも、下記のような専門家の指摘もあります。

特に訪問介護は専門性の高さが求められるわりには給与がほかの介護職より低く、若い人にとっては選択肢になりづらい。』

介護職の大幅賃上げが必要

 これを打開するためには、介護報酬を引き上げて介護職の給料を大幅に上げる必要があります。

 これにより、賃金アップ→人手不足解消→高齢者が安心して自宅で過ごすことができる→現役世代も所得が上がるので景気も回復する、という好循環が下地が整います。

財源は国債がベスト

 そのための財源は、国が国債を発行して調達すればいい。国債発行は貨幣発行ですから、新規国債を発行して介護報酬アップにあて、これを介護職の皆さんに渡せば、介護職の皆さんは豊かになります。(国債は事実は政府の借金ではありません。政府による新たな通貨発行です。これからも繰り返し指摘していきます。)

 政府が国債(赤字国債)を発行して財政支出を拡大し(財政赤字の拡大)、国民に渡せば国民は黒字になります。誰かの赤字は別の誰かの黒字になる。当たり前の話です。

 国の財政赤字は国民の黒字。国の財政黒字(プライマリーバランス黒字化)は国民の赤字です。PB黒字化目標=国民赤字化目標なのです。

人手不足を外国人受け入れで解消するのは愚策

 このように解決すればいいところを、介護報酬アップ→賃金アップ→人手不足解消、ではなく、低賃金据え置き→低賃金で働いてくれる外国人受け入れ→人手不足解消を図っていたのが、これまでの政策でした。

 これでは介護職は低賃金で固定化され、所得は上がらず景気も回復せず、少子化も止まりません。人手不足を外国人受け入れで解消するのは、やってはならない愚策なのです。

財源論に阻まれた介護報酬アップ

 これまでも与野党問わず、介護報酬の引き上げをすべき、という意見は多々ありました。

 しかし、財源論に阻まれて介護報酬の大幅引き上げをすることができなかったのです。正しい貨幣観を持たず、国債に対する認識を間違っていたからです。

 そして、介護など福祉財源を調達するために消費税増税が必要だ、と財務省に説明されて、消費税増税が日本経済に大きなダメージを与え、結果として経済成長の停滞を招き、少子化や格差社会を拡大し、福祉の貧困化も招いてしまうにもかかわらず消費税増税に賛成するという行動をとってしまったのです。

総裁選挙でも国債による福祉財源の議論が必要

 今回の総裁選挙で、介護職の人手不足解消のためにも、PB黒字化目標の撤回(最低でも凍結)、財政支出拡大を訴える人が総裁となり、新総理となって国債発行による大幅な福祉財源の充実を図り、福祉の人手不足を安易に外国人労働者受け入れで解消しない、という政策の大転換も図る必要があります。

 繰り返しになりますが、財源は国債でいいのです。

 また、プライマリーバランス黒字化目標(PB黒字化目標)とは、国民赤字化目標、言い換えれば国民貧困化目標である、ということも周知するいい機会になります。

 外国人労働者受け入れの問題については、また次の機会に書きます。

11件のコメント

私の甥も介護職に就きましたが、重労働や見合わない賃金為に結局続きませんでした。介護報酬アップに加えて警察官や消防士のように一定数の公務員として人員確保も必要だと思うのですが…

そうですね。介護職も公務員化してもいいと思います。

職に留めて頂くのに、働く本人だけの志だけでは継続が難しいものだと感じます。精神労働も半端ない職場と思えます。

カワイさま、ありがとうございます。そうです。精神論だけでは無理ですね。

妻が以前介護職に付いており、現在は障がい者支援施設で働いています。どちらも高いスキルと体力が必要であり苛酷な現場なのですが、認知度の低さと低賃金の為、退職者が後を絶たないようです。自治体任せではない国のきちんとした改善、対応が必要だと思います。

坂下様
ありがとうございます。国による対応、改善が必要ですね。自治体では財源に限りがあるので十分なことができません。全国一律の底上げが必要です。

保育士の給与についてはいかがでしょうか?9月1日のニュースで、「言うこと聞かなかったため保育士が2歳児4人を部屋に閉じ込め」とありました。
複合的な問題があり、

・保育士の人員不足
・人員不足からくる保育士の教育不足
・人員不足の原因は低賃金

結局のところは、低賃金だから有能な人材が集まらないことだと思います。介護職の問題はとても大きなことだと思いますが、将来の日本を背負う子供たちに、このような環境しか提供できないのでしょうか。目先の問題としては、この保育士に問題があるのは間違いないのでしょうが、人材不足=低賃金と考えれば、国や政府、政治家だけでなく、国民にそのような意識がないことがとても問題なのだと思います。
なぜ小学校以降の教員についてはそこそこ給与が高く、保育士や介護士となると、一気に低賃金になるのか謎です。
重要度はむしろ、

保育士>小学校>中学校>高校>大学

だと思うのは私だけでしょうか。保育士も昔は公務員でしたね。そういう流れを止める必要があるのだと思います。

SSPP様
ありがとうございます。保育士も低賃金で固定され、同じ状況だと思います。
以前から子供相手の仕事だから、というようなイメージで低賃金で固定されています。
おっしゃるとおり、幼児期の教育は非常に重要です。
保育士不足で待機児童が解消されない、という話もあります。
介護職と同様、保育士も仕事内容に見合う賃金を支給すべきです。

賃金も大事ですが、人と関わること、人と関わることで社会に関わろうとする人が劇的に減っているのです。
教員や保育士も同じです。
人と関わることの恐れを抱いている若者が増えている、親は低賃金でリスクの大きい仕事を子どもがすることを敬遠する、教育、保育、福祉を志す学生が減っている…
介護の人手不足からの研修生制度の報道や津久井やまゆり園事件など様々なものがそれを後押しします。
福祉を通して社会にコミットしようとしても、同士がそう多くなければ、辞めるか諦めるかするのです。
給料はさほど高くなくてよいから、歓びのある仕事だという誇りを政策誘導で支えていただきたい。

管理者様
コメントありがごとうございます。
介護も教育もそうですが、保護者や家族とのコミュニケーションも以前に比較して格段に難しくなっている気がします。
教育現場でも、子どもたちよりも保護者対策に教員のエネルギーが割かれているように感じるのです。
学校の先生方や介護施設等の職員の皆さんを信頼してもらうためにも、高賃金でいい人材に集まってもらう仕組み作りが必要だと思います。
精神論だけでは解決できないように思うのです。

管理者様のコメントについて

介護職に求められて人材像は、
普遍性のものと思います。

ただ 給与 厚生 人材面で他と比べ低い
のは実現です。

『国には財源がない』とのお考えが前提
であれば
『国は財政出動することで問題解決できる』ことを前提にして
どのようにしたら良いのか
議論を進めていただきたいです。

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あんどう 裕(ひろし)前・衆議院議員
慶應義塾大学経済学部卒、大手鉄道会社入社。平成9年税理士試験合格。平成10年独立し安藤裕税理士事務所を開設。平成24年12月衆議院議員総選挙により初当選。以後3期連続当選。議員連盟「 #日本の未来を考える勉強会 」前会長。税理士。